特任助教
医学系研究科
研究分野: 個別化がん免疫治療学
元来私達の体には、病原微生物やウイルスに対し、それらを排除しようとする免疫機構が備わっています。風邪を引くと非常に辛いですが、いずれ風邪は治り、また元気に普段の生活を送れるようになります。癌に対しても我々の体は癌を認識・排除しようとする免疫機構が備わっています。私はこの癌に対する免疫機構を解明し、本機構に関与する多様な免疫細胞の能力を最大限引きだし、現行の治療では治療が困難な癌を「治癒」し得る新しい治療法によって多くの癌患者さんを救いたいと、研究に取り組んでいます。
本庶佑先生により免疫チェックポイント阻害薬が発見・発明され、この10年で癌に対する免疫治療は目まぐるしく変化、進展し、大きく発展を遂げました。一方で、残念ながら現行の治療では救えない進行性の難治癌や転移性癌、再発癌の患者さんがおられるのも事実で、この難題を克服して初めて真に癌を「治癒」できると考えています。これらの難題を克服・打破するため、我々は、遺伝子改変T細胞(CAR-T/TCR-T)とワクチンを組み合わせた結果、上記の癌を「治癒」できることを見出し、再発を許さない新規免疫治療への応用が期待され、その実現を目指して挑戦しています。
これまで我々は、主としてマウスを用いた動物実験を実施し、今まで非常に治療が困難だった癌を治癒できることを明らかにしてきました。私は癌で苦しんでいたマウスがまた元気にケージの中を走り回れるようになった姿を見た際、非常に嬉しい気持ちになりますが、癌患者さんの「治癒」も必ず実現したいと考えています。その夢を実現するため、現在我々はベンチャー企業を起業し、本治療を癌患者さんの元に届けられるよう、ヒトへの実用化に向け、研究開発を進めています。
東京都出身。東京薬科大学薬学部、同大学院薬学研究科(免疫学)修了後、保険調剤薬局及び(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)勤務を経て、2012年より三重大学大学院医学系研究科がんワクチン治療学講座入職。2013年複合的がん免疫療法センター、2016年遺伝子・免疫細胞治療学、2017年より同講座特任助教、2020年より個別化がん免疫治療学同職。専門は免疫学、薬学
日本免疫学会、日本免疫治療学会、日本がん免疫学会、日本癌学会、日本ワクチン学会、日本DDS学会所属
三重大学学長賞受賞(2016年)、三重大学知的財産優秀出願賞、活用賞受賞(2016年,2023年)、三重大学生命の駅伝がん研究奨励賞受賞(2023年,2024年)
がん免疫療法開発のガイドライン作成(厚生労働省)、DiveRadGel株式会社科学諮問顧問
薬剤師免許、博士(医学)