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荷電粒子(電子・イオン)線源の開発と表面分析機器への応用

永井 滋一

准教授

工学研究科

電気電子工学専攻

電子物性工学

研究分野: 量子エレクトロニクス研究室

nagai(AT)elec.mie-u.ac.jp
(AT)は@に読み替えてください。

キーワード

  • 電子ビーム
  • イオンビーム
  • 表面分析
  • アトムプローブ
  • 放射線計測

関連するSDGs

  • 背景、動機付け

    電子顕微鏡をはじめとする表面分析機器の性能と特徴は,光源である荷電粒子(電子・イオン)線源の特性によって決まる。次世代の顕微分析装置への応用を目的に,針状エミッタ先端を原子レベルで制御することで,高輝度特性,小エネルギー幅,スピン偏極などの機能を有する荷電粒子線源の開発に取り組んでいる。この技術開発は,微細化が進む半導体デバイスの高精度検査,および鉄鋼材料の微視的解析を通じて,新たな材料開発への貢献が期待される。

  • 成果、活用例

    電子・イオン放出の基礎物理の解明と荷電粒子線源の開発に加えて,これらを評価する分析計測システムの開発に取り組んでいる。電子源先端を原子レベルでキャラクタライズすることで,室温で70%以上のスピン偏極度を有する電子線の生成に成功している。また,アトムプローブを用いた電極反応の解明に着手している。さらに,他大学と民間企業と共同開発した放射線計測器を用いて,福島原発事故直後から5年間のγ線スペクトルを連続計測した実績がある。

  • 今後の展望展開

    新奇物性を有する材料を用いた荷電粒子線源の開発,および先端計測分析機器への応用を実施してきた。今後,原子レベルでの表面構造観察と組成分析が可能なアトムプローブ電界イオン顕微鏡像の機械学習を活用したデータ分析に取り組みたい。また,次世代分析装置開発は材料およびデバイス開発にとって重要であり,要素技術開発からデータ分析について産学協働で取り組みたい。

  • 主な研究業績・作品等

    • M. Yamada, T. Okazawa, S. Nagai, K. Hata, “Identification of Crystalline Orientation of Tungsten Tips by Machine Learning Analysis of Field Ion Micrographs”, E-journal Surf. Sci. Nanotechnol. 20, 20-24 (2022) .
    • S. Nagai, H. Ikemizu, K. Hata, T. Ishikawa, “Highly spin-polarized field emission from ⟨100⟩-oriented Co2MnGa tips”, J. Appl. Phys. 126, 135302 (2019).
    • 4. S. Nagai, et al. “An advanced ionizing radiation monitoring network based on using SrI2(Eu)/MPPC module”, Surf. Interface Anal. 48, p.1263-1268 (2016).

    独自開発した電界放出型スピン偏極電子源評価装置

    電界放出型電子・イオンエミッタ先端のSEM像と先端の原子配列を観察できる電界イオン顕微鏡像

  • 略歴

    2010年三重大学大学院工学研究科助教。2011年三重大学大学院工学研究科 博士後期課程 材料科学専攻修了(博士(工学))。2012年4月~2013年3月ドイツ マックスプランク研究所客員研究員を経て,2020年三重大学大学院工学研究科准教授

  • 社会とのつながり

    2020年~ 日本学術振興会R026先端計測技術の将来設計委員会 運営委員
    2020年~ 日本表面真空学会 マイクロビームアナリシス技術部会 常任幹事
    2015年~ 日本顕微鏡学会 電子光学設計技術部会 幹事
    2011年~2014年 日本学術振興会 福島支援事業 委員
    2019年 日本学術振興会マイクロビームアナリシス第141委員会 榊奨励賞 受賞

  • 資格

  • 高大連携における探究活動の支援分野

    • 自然科学(化学・生物・数学など)への課題