講師
医学系研究科
生命医科学専攻
基礎医学系講座
研究分野: 発生再生医学
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、既往歴のない児が睡眠中に突然亡くなる疾患で、現在でも毎年100名弱の児がこの疾患で亡くなっています。これまでのところ、その発症原因は不明ですが、胎生期のセロトニン神経系の発生異常が疑われ、出生後の細菌感染が引き金になる可能性があります。私は、これらの報告を基にSIDSのモデルラットを作成し、発症機序の解明に務めています。
私は、SIDSモデルラットの脳でケモカインと呼ばれる細胞遊走因子の発現量が増加していることを明らかにしました。さらに解析を行った結果、少なくとも7種類のケモカインの発現量が、SIDSモデルラットの脳で増加していることがわかってきました。今後は、脳においてこれらのケモカインの発現量が増加した結果、SIDSが引き起こされるのか明らかにしたいと考えています。これらを明らかにすることにより、あらかじめSIDSになりやすい児を見つけ、予防することが可能になります。
SIDS発症の大きな要因である”うつぶせ寝”を予防するキャンペーンにより、SIDSで亡くなる児の数は大きく減少しましたが、現在でも毎年100名弱の赤ちゃんがSIDSで亡くなっています。私が開発したSIDSモデル動物を用いて、発症に関連するマーカーを見つけることで新たな予防方法の開発が可能になり、またモデル動物を用いた薬剤スクリーニングを行うことにより治療薬の開発につながるかもしれません。
群馬県生まれ。2007年藤田保健衛生大学助教、2010年三重大学医学系研究科助教、2013年同講師、現在に至る。専門領域は、乳幼児突然死症候群、系統解剖学。