規制緩和という大きな時代の流れの中で、伝統的には株式会社形態になじまないと考えられてきた社会的分野(農業・教育・医療といった分野)においても、株式会社形態の導入が始まっています。私の研究は、規制緩和との関連において、これらの社会的分野における株式会社の活用可能性について、会社法学の立場から検討するものです。
株式会社は、資本制社会における経済活動の担い手として、最も優れた企業形態です。そこで会社法学は、伝統的に営利事業のみを念頭に置いて株式会社の組織および行動を検討してきました。それに対して、私の研究は、営利事業以外の分野にも目を向けて、伝統的な会社法学の対象領域を拡大するとともに、未開拓の領域に分け入るものです。
農業分野への株式会社の導入については、これまで「株式会社性悪説」と「株式会社性善説」の衝突が繰り返されながら、規制緩和の潮流の中で導入を促進する方向に進んできました。けれども、いままでの議論では、株式会社とはどのような企業形態かについて、立ち入った検討が加えられてこなかったように思います。そこで、株式会社という法形態は農業という産業に適しているかが検討課題です。
鹿児島県生まれ。富士大学経済学部助教授を経て、2004年より三重大学人文学部教授。
三重県収用委員会委員、三重県情報公開・個人情報保護審査会委員