規制緩和という大きな時代の流れの中で、伝統的には株式会社形態になじまないと考えられてきた社会的分野(農業・教育・医療といった分野)においても、株式会社形態の導入が始まっています。私の研究は、規制緩和との関連において、これらの社会的分野における株式会社の活用可能性について、会社法学の立場から検討するものです。
株式会社は、資本制社会における経済活動の担い手として、最も優れた企業形態です。そこで会社法学は、伝統的に営利事業のみを念頭に置いて株式会社の組織および行動を検討してきました。それに対して、私の研究は、営利事業以外の分野にも目を向けて、伝統的な会社法学の対象領域を拡大するとともに、未開拓の領域に分け入るものです。
平成30(2018)年12月に成立し、令和2(2020)年12月から施行されている改正漁業法は、昭和24(1949)年に制定された「漁業法」がおよそ70年ぶりに、大がかりに改正されたものです。改正漁業法は、それまでの漁業権免許の優先順位を廃止し、「活用漁業権」(適切かつ有効に活用されている漁業権)の考え方を導入しました。目下のところ、今後の動向を注視する必要があると思っています。
鹿児島県生まれ。富士大学経済学部助教授を経て、2004年より三重大学人文学部教授。
三重県収用委員会委員、三重県情報公開・個人情報保護審査会委員