教授
教育学部
理科教育
研究分野: 生物学
生態学の研究をしています。特に森林がどう動いているのか、そのなかで個々の樹木がどう生きているのかに興味があります。樹木は森林を構成する主な生物ですが、体が大きく寿命が長いために調査が困難で、その生存戦略には未知の領域が多いのです。一方で、開発による生物多様性の消失が問題となり、森林や生物多様性の保全と共に、ESD(持続可能な発展のための教育)としての環境教育が求められている社会的背景を踏まえ、森林教育・生物多様性教育の推進にも取り組んでいます。
研究から得た知見は、主に自治体等の環境の取組みや、科学啓発、教員研修等に活用されています。例えば、尾鷲市の国指定天然記念物「須賀利大池及び小池」の森林動態の知見は、市の文化財の保存活用計画に反映されています。また、森林生態学・教育の知見は、三重県の森林教育の副読本の監修等、県の森林教育の推進に活用されています。植物生態の知見は、県のレッドデータブックの作成等、生物多様性保全に活用されています。
生態学の基礎研究としてだけでなく、地域資源の学術的価値を高める視点をもって研究を展開したいです。例えば、災害時には生態系にも攪乱やリセットが生じますが、そこからの再生を考える際に重要な役割を担うのは「事前」のデータです。ところが事前のデータがないがために事後との比較ができず、科学的分析が困難になるケースがよくあります。地域の生態系の基礎データを重厚にすることは、将来必ず大きな意味をもつはずです。
1975年、広島県生まれ。2005年、大阪市立大学大学院後期博士課程修了。博士(理学)。専門は、森林生態学・植物生態学。2009年、三重大学教育学部准教授、2021年、三重大学教育学部教授。
三重県環境影響評価委員会委員(2011~2022年)をはじめ、自治体の審議会等の委員を多数務めています。また、教員研修の講師、学校・博物館での講座の講師等、三重県内外での科学啓発・アウトリーチ活動に積極的に取り組んでいます。
2013年3月、Ecological Research Award(日本生態学会 論文賞)を受賞。