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魚病の発生機構を明らかにして防除法を開発する

一色 正

教授

生物資源学研究科

生物圏生命科学専攻

海洋生物学

研究分野:  

isshiki(AT)bio.mie-u.ac.jp
(AT)は@に読み替えてください。

キーワード

  • 魚介類
  • 養殖
  • 魚病
  • 発生機構
  • 防除対策

関連するSDGs

  • 背景、動機付け

    集約的に魚類を飼育している養殖漁場では,様々な魚病が発生し,甚大な産業的被害を引き起こして問題となっています。大切な水産資源である養殖魚介類を病気から守るには,個体,細胞および分子のレベルから病態や病原因を総合的に解析し,魚病の発生機構を解明するとともに,その診断法,治療薬および予防法を開発して有効な防除対策を講じることが重要です。

  • 成果、活用例

    他大学との共同研究により,40年近く原因不明であったトラフグの口白症の病原ウイルスのゲノムの一部を発見し,このゲノムを検出することによって本症を確定診断することを可能にしました。さらに,このゲノム情報をもとにしたワクチンの開発も進めています。また,近年問題となっているアコヤガイ大量死への関与が疑われる新種の細菌を発見しました。一方,行政機関からの要望に対応して,産業的価値の高い甲殻類の血リンパ1滴を用いることで,漁獲物を傷つけずにウイルス病の検査ができる抗原検査キットを開発しました。

  • 今後の展望展開

    魚は下等な脊椎動物であるにも関わらず、私たち人間に匹敵する高度な免疫機能を備えています。近年における分子生物学の急速な進歩により,魚類のユニ-クな免疫機構は徐々に明らかになってきましたが,未だ十分に解明されていないのが現状です。魚類免疫学は脊椎動物における免疫系の進化を解明するという点においても,今後の進展が期待される学問領域の一つであり,魚類に特有な免疫機構を探るため,遺伝子レベルで研究を進めています。

  • 主な研究業績・作品等

    • T. Isshiki and T. Miyadai (2019): Aquaculture, 500, 141-147.
    • T. Katou, M. Kitamura, T. Maeda, T. Odaka, F. Takizawa, H. Suetake, T. Isshiki and T. Miyadai (2021): Fish Pathology, 56 (1), 6-13.
    • A. Sakatoku, K. Hatano, S. Tanaka and T. Isshiki (2021): Archives of Microbiology, 203(8), 5267–5273.

    口白症にかかった養殖トラフグ。病魚は興奮して噛みつき合うため,口吻部が出血を伴って,びらんしている。

    免疫を担うニジマス形質細胞の電子顕微鏡写真。人間と同様にニジマスも抗体を産生することができる。

  • 略歴

    香川県生まれ。1986年高知大学農学部卒業,1988年高知大学大学院農学研究科修士課程修了後,香川県水産試験場主任研究員を経て,2003年三重大学生物資源学部助教授。2018年から現職。

  • 社会とのつながり

    公益社団法人日本水産学会水産増殖懇話会委員会委員,社団法人日本水産資源保護協会養殖衛生管理技術普及活動専門委員,日本魚病学会評議員,日本水産学会中部支部幹事などを務める。

  • 資格

    魚類防疫士

  • 高大連携における探究活動の支援分野

    • 自然科学(化学・生物・数学など)への課題