教授
工学研究科
応用化学専攻
生物機能工学
研究分野: 分子生物工学
私たちも含めて,すべての生物は細胞からできています。細胞の構造がどのようにできて,どのように機能しているのか,その仕組みはとても不思議です。細胞に学び,まねることで,細胞のもつ能力を人工物に写し取れないか,化学をベースに考えています。また,細胞の能力を生かして,私たちに有益なタンパク質や膜脂質を産生する方法も検討しています。
応用化学の立場から,生化学,生物工学,遺伝子工学,膜工学の知見を用いた教育・研究を行ってきました。具体的には,医薬品や化粧品の有効成分の送達体として有名な人工細胞材料であるリポソームの作製法の研究,遺伝子組換えウイルスによる膜タンパク質の発現と人工細胞膜への挿入,無機素材に細胞膜を担持した細胞模倣ハイブリッド材料の開発,抗体作製に関する研究,等に関心を持って携わってきております。
細胞模倣材料と有用生体分子の産生に関する基礎研究を進める中で,新規の担体や検査法に資するものとしての応用可能性を探って参ります。特に,迅速,簡便,大量,均質に調製することが難しい材料です。細胞構造の特徴である自己組織化の過程を工夫して取り込むことで,作製過程におけるこれらの困難性を克服して,役に立つ細胞模倣材料と有用生体分子の実用的な生産につなげたいと考えています。さらに,その手法を適用して,回りの生物・細胞資源を付加価値のある材料へ転換する方法の考案にも取り組みたいと考えます。
神奈川県生まれ。1998年東京大学理学部生物化学科卒業。2002年名古屋大学大学院人間情報学研究科修了・博士(学術),2002年三重大学大学院工学研究科・助手着任,その後講師,准教授を経て2020年より教授。
日本生物工学会中部支部役員庶務幹事(2021,2022); 日本化学会東海支部化学教育協議会委員(2021,2022); 日本生化学会代議員(2020-2023), 中部支部幹事(2015,2016); 日本化学会 コロイドおよび界面化学部会事業企画委員会委員(2019-); 日本ナノメディシン交流協会(2012-)