日本では、高齢者や障がい者など、災害発生時に特に被害を受けやすい者を「要配慮者」として、日頃から対策を講じるよう定めています。現在、高齢化が進展し、高齢者の6人に一人が要介護認定者であり、その約8割が地域で療養生活を送っています。そのため、日本の防災対策において、地域の共助力に基づく「要配慮者」の支援システムを構築することが喫緊の課題になっています。
要配慮者への防災対策としては、①平時の災害準備、②災害時の避難、③避難所生活における健康維持、④要配慮者にならない(介護予防)、への多面的な支援が必要です。これまでに、地域で生活する要配慮者の実態調査を通して、防災上の課題を明らかにしました。そして、課題を踏まえた具体的な支援策について、教育プログラムを作成して提供すると共に、地域住民による防災対策活動を支えるサポートシステムを構築してきました。
要配慮者の多くは要介護高齢者や障がい者です。認知症高齢者の方も含まれます。そのため、住民だけでは要配慮者への具体的な対策を講じることが難しく、専門者や行政等によるサポートが必要になります。また、地域防災における次世代育成にも課題があると思っています。今後は、地域防災における次世代教育と、高齢者および要配慮者の防災支援に特化した防災コーディネーター育成プログラムの開発に取り組みたいと考えています。
三重県生まれ。2001三重県立看護大学助手、2008年三重大学医学部看護学科准教授、2012年同大学教授、2016年同大学医学系研究科看護学専攻教授、現在に至る。専門は、老年看護学、災害看護学。
三重県避難所運営マニュアル策定指針策定委員
三重県避難所アセスメント事業感染対策担当
日本災害看護学会代議員