保健管理センターでは、学生・教職員を対象に各種健診を実施し、キャンパス内においてCOVID-19や肺結核を含む様々な感染症対策を行っています。また、全学共通教育センターにおいて医学部のみならず幅広い学部の学生を対象に「健康科学」の講義を行っています。一方、医学部附属病院や県内のいくつかの病院において肝臓病を中心とした外来診療を行っています。生活習慣病(メタボリック症候群)が肝臓を含む全身臓器に及ぼす影響についても研究しています。
肥満、糖尿病、脂質代謝異常、脂肪肝、運動など、さまざまな状況において全身の細胞から血液中に放出される細胞外小胞 (EV) の解析を行なっています。これらの解析を通じて、成人および小児血液中のEV数は、種々のメタボリック関連因子と相関することを明らかにしました。また、わずか数分間の強い運動でも、血液中のEVに含まれる蛋白成分は劇的に変化することを明らかにしました。さらに小児肥満では、よく知られた脂肪細胞、肝細胞、骨格筋細胞のみならず、心筋、脳神経系、凝固・免疫系の細胞など様々な細胞の生物学的機能に影響があることを学会や論文で発表しています。
これまでの解析で、メタボリック状態を増悪させる蛋白と、改善させる方向に働くEV蛋白をいくつか同定しています。これらのEV蛋白の量が生活習慣の改善によってどのように変化していくかを追跡する予定です。さらに、これまでに同定したメタボリック状態を改善するタンパク質を、生活習慣病における病態を改善するための補助薬として使えないか、細胞や動物を用いた実験で確かめていきます。これらの研究を通じて、多くの人の健康増進や治療に役に立てればと思っています。
山口大学医学部、三重大学医学部大学院卒業。山田赤十字病院(現:伊勢赤十字病院)、社会保険羽津病院(現:四日市羽津医療センター)などに勤務したのち、三重大学消化器・肝臓内科助教、同講師、三重大学保健管理センター准教授を経て、現在同センター教授。専門は消化器内科学で、肝臓病を中心に診療・研究を行っています。
日本内科学会総合内科専門医・指導医。日本消化器病学会専門医・指導医。日本肝臓学会専門医・指導医。