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細胞増殖の仕組みを理解することで、がんや老化を理解し治療に役立てる

後藤 英仁

教授

医学系研究科

生命医科学専攻

基礎医学系講座

研究分野: 組織学・細胞生物学

キーワード

  • 細胞増殖
  • 細胞周期
  • がん
  • 老化

関連するSDGs

  • 背景、動機付け

    皮膚、消化管上皮、血液などを代表にほとんどの組織では、細胞を増殖させることで古い細胞と絶えず入れ替えながら、その機能を維持しています。これまで「細胞がどのように増殖していくか」に注目し、研究を行ってきました。特に、この細胞増殖の基本機構である細胞周期がどのように制御されているかを、タンパク質リン酸化酵素(キナーゼ)の観点から研究してきました。これらをがん治療や抗老化治療に役立てたいと考えています。

  • 成果、活用例

    研究対象しているキナーゼの多くはがんで異常に活性化していることが知られています。現在、多くの薬剤メーカーが次世代の抗がん治療の分子標的薬として、これらキナーゼの阻害剤を開発しています。我々の研究成果は、これら分子標的薬がどのように作用するかを明らかにするだけでなく、どのような阻害剤の組み合わせががん治療により効果的であるかを示してきました。

  • 今後の展望展開

    がんでは、細胞が制御を受けない異常増殖をする疾患と考えられています。老化では、逆に、細胞の自己複製能力が低下することで引き起こされると考えられています。ただ、加齢と共に、がんの罹患率も上昇することから、これらは逆の現象のように見えて、実は比較的近い病態が存在するのではないかと考えられています。私は、細胞増殖の分子機構をキナーゼの観点から探ることで、将来的な治療薬の開発に役立てたいと考えています。

  • 主な研究業績・作品等

    • Goto, H., et al. Nature Cell Biology. 8 (2): 180-187, 2006
    • Kasahara, K., Goto, H.et al. Nature Communications. 4: 1882, 2013
    • Goto, H., et al. Journal of Cell Science. 132 (2), pii: jcs223123, 2019

    新規キナーゼ阻害剤併用療法の探求

  • 略歴

    三重県生まれ。1993年三重大学医学部卒。1998年三重大学大学院修了。1996年より愛知県がんセンター研究所で基礎研究(途中、2年間、アメリカ留学)を開始。2018年より三重大学(2019年より現職)。

  • 社会とのつながり

    現在(2022年度)、日本癌学会評議員、日本解剖学会代議員、日本学術振興会連携会員。2000年度三医会賞、2007年度日本癌学会奨励賞、2021年度緑の風記念三重医学研究振興会賞。

  • 資格

    医師免許

  • 高大連携における探究活動の支援分野