脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血は、現在においても、治療後の社会復帰率が極めて低い疾患です。
今まで、くも膜下出血の予後を改善するには、発症後7-10日をピークに生じる脳血管攣縮の治療が必要だと考えられてきましたが、我々の調査では、発症後4-14日に生じる遅発性脳損傷が最も重要な予後不良因子であることが分かり、くも膜下出血発症直後から潜在性に生じる脳損傷を的確に診断し、早期に治療することこそが予後の改善に重要と考えられます。
マトリセルラー蛋白は、正常な状態の時にはなく、病的状態ではストレスや炎症などにより誘導され、受容体やサイトカイン、他の細胞外マトリックス蛋白などと反応し、細胞間や、細胞と細胞外マトリックス間の様々な機能を調整するその機能の多様性から注目されおり、我々のグループは、くも膜下出血後の脳血管攣縮や早期脳損傷はマトリセルラー蛋白と関係していることを証明してきました。
早期脳損傷の発生機序も含めた病態を解明することで、くも膜下出血後早期脳損傷の早期診断法や治療法、遅発性脳損傷の的確な評価法の確立など、新たな脳保護治療法を開発することができ、くも膜下出血患者の予後改善に役立てると考えています。
1997年 三重大学医学部卒業、三重県や愛知県の関連施設で脳神経外科医として従事
2013年 三重大学大学院医学系研究科卒業、テネイシン-Cによる脳動脈の持続的収縮の誘導に関する研究にて医学博士取得
2018年~三重大学医学部附属病院脳神経外科助教
国立大学法人三重大学学長特別表彰
平成25年度三医会奨励賞
第5回スパズムシンポジウム優秀論文賞(基礎研究部門)
第8回スパズムシンポジウム優秀論文賞(基礎研究部門)
第83回近畿脊髄外科研究会 優秀演題賞
日本脳神経外科学会専門医
日本脊髄外科学会指導医、脊椎脊髄外科専門医
日本脳卒中学会指導医、日本脳血管内治療学会専門医