センター長(病院准教授)
附属病院
漢方医学センター
研究分野:
日本の伝統医学である漢方医学は、明治維新以後、消滅の危機に瀕しました。昭和の時代、漢方エキス製剤の普及とともに、漢方医学の復興は大きなうねりとなり、今や医学部教育カリキュラムに漢方医学の知識は必須となりました。しかし、正しい知識や経験を持った医師は未だ少数で、特に医学部教育における専門性を持った教員は全国でもほんのわずかです。私は医学生や医師向けに、実臨床に沿った漢方医学の本来の魅力や力を伝えることで、ひいては患者さんに恩恵がもたらされるよう日々努力しています。
2010年に三重大学病院初の漢方専門外来の開設に携わり、長年に渡り唯一の担当医を務めてきました。三重大学病院が漢方専門医研修指定施設となり、2022年4月には独立部門としての漢方医学センター設置へと繋がりました。エキス製剤のみならず、煎じ薬処方の専門性を活用した診療のほか、多くの講演や海外学会での発表を行ってきました。また、漢方臨床問題自己学習用のiOSアプリを作成し、学生研修医教育にも携わっています。
貴重な天然素材である漢方生薬は、正しい伝統理論に則って用いることで、難病や未知の疾患、新興感染症などへの応用も期待されています。悠久の歴史を持つ中国伝統医学の知識と日本漢方の経験を融合させ、未来へつながるサステナビリティを持った臨床応用論や教育方法を確立していきます。漢方医学の一般市民への啓蒙のほか、生薬成分を使った新規の薬剤や商品開発にも携わられればと考えています。
福井市生まれ。2000年三重大卒。小児科臨床、外科・小児病理、産業・予防医学の経験研鑽を積み、2010年より三重大学病院漢方外来を担当。2022年より漢方医学センターのセンター長として、漢方医学の臨床と教育に携わっています。
日本東洋医学会代議員、日本東洋医学会渉外委員会国際担当委員長、日本東洋医学会東海支部役員・三重県部会役員として活動しています。第44回「漢方研究」イスクラ奨励賞受賞。
医学博士、漢方専門医・指導医、小児科専門医、労働衛生コンサルタント資格(保健衛生)、厚生労働大臣認定死体解剖資格、メンタルヘルスエキスパート産業医