もともとの専門は自然地理学ですが,とくに「地域」をさまざまな角度から掘り下げて研究することに興味があるため,現在はおもに集落地理学や歴史地理学に取り組んでいます。大きな研究のテーマは「防災・減災」で,地域に焦点を当てて,土地の特性やそこに住まうひとびとの防災についての意識や行動,また行政の防災対応がどうであるかなどについて調査や分析をし,地域の防災人材の育成や防災活動に関する提言などを行っています。
おもな地域での活動として,地域防災活動支援や防災人材育成などに携わっています。具体的には避難所での感染症対策を考慮した避難所アセスメント事業や女性目線での避難所運営,また小学校高学年以上を対象にした避難所生活を学ぶためのコンテンツの開発など,避難所や避難生活に関するものがあります。これらの活動を地域における防災力の向上に活かすべく,地域特性に応じた防災活動等の提案を行っています。
近年は感染症の影響もあり,集団生活となる避難所へ逃げることをためらう方がいます。ただ以前から心理的または避難所の環境的要因により,避難所の利用を躊躇するという問題は存在しており,これまで見えづらかった課題,もしくは直視してこなかった地域課題が顕在化したのではと考えています。地域防災力を高めていくにはこれらの課題を抽出し,さまざまな主体が関わり,平時のうちに解決策を見出していくことが重要です。今後も地域との連携を図り,今だからできる災害対応を進めていきたいと考えています。
三重県生まれ。北海道大学大学院環境科学院修了。三重大学地域圏防災・減災研究センター助教を経て、2022年より三重大学大学院地域イノベーション学研究科准教授。
三重県防災会議委員, 三重県大規模小売店舗立地審議会委員, 三重県公共事業評価審査委員会委員, 三重県河川整備計画流域委員会委員, 南伊勢町男女共同参画施策審議会会長, 鈴鹿市防災会議委員などを務める。2017年北海道地理学会優秀論文賞など受賞。