行政や地方自治は私たちにとって身近な存在であり、それらにかかわることなしに生活を送ることは不可能であるといっても過言ではありません。換言すれば、行政や地方自治が私たちの生活に与える影響は大きく、それゆえ、国や地方自治体の関係や、政策過程、組織のあり方、官民連携などのテーマは学術的にも社会的にも重要な関心事です。このように重要性の高い行政や地方自治に関するテーマについて、日本国内はもとより、海外の事例や動向を扱い、比較の観点から研究を進めています。
これまでの研究では、どのように地方分権が行われるのかというテーマを扱ってきました。近年では、国が持っている権限や財源を地方に移していくという地方分権改革が世界的なトレンドになっています。しかし、改革の実態は多様であり、地方自治体の決定権が増えているとは一概にはいえません。私の研究では、主に政治学の視点から、分権改革に携わるアクターの動きや選好を分析することで、どのように改革が制度設計され、いかなる制度が導入されるのかを分析しています。
今後は、公務員制度や自治体間連携などのテーマについて、国際比較研究を実施したいと考えています。現在の日本では、公務員のなり手の問題や、人口減少に伴う地方自治体の行財政運営の問題が喫緊の課題となっています。こうした社会的課題について、三重県内の自治体はもちろんのこと、全国や他国の取り組みを分析することによって、持続可能な行政や魅力的な行政を創出する上で何が必要か明らかにしていきたいと考えています。
2018年に日本公共政策学会若手最優秀報告賞を受賞。
2023年に日本行政学会研究奨励賞(論文部門)を受賞。