教育のあり方の固定化は、それにそぐわない子どもたちを閉めだそうとします。その最たる存在に、障害のある子どもがいます。学校における差別の現実をみつめた人たちから、教え育てる教育でなく、共に生き共に学ぶ、共生共学という思想が生まれてきました。私はこの考え方に深く共感し、現実の教育差別の分析や差別と闘う実践を研究しています。
共生共育・共生共学の発想は、障害のある子どもに限定され資するものではありません。能力主義と評価の個人化によって「できない」ことで自信を失っている人はたくさんいます。それを乗り越えるには個人の能力を高める支援ではなく、できないことを問題とする価値観の再考とできないことを共に引き受けるつながりです。
これまでも当事者の人たちから多くのことを学んできました。孤立と競争が深まる社会において、自分を否定しないですむような社会変革にアクション・リサーチで関わってきたいと考えています。
三重県出身。2013年京都大学大学院修了。日本学術振興会特別研究員を経て、2014年より現職。