特任講師
人文学部
文化学科
日本研究
研究分野:
文学は時代の鏡です。とりわけ、歴史的資料には反映されにくい世界観を写す鏡であると言えます。たとえば、ある時代には合理的・科学的なものとみなされていた考え方が時代を経ると非合理・非科学的なものとみなされることがあります。言い換えると、現実的なものと幻想的なものの境界は確定的ではなく、つねに揺らいでいるといえます。このような世界観の変遷の鏡として文学を捉え、人間の思考のありかたとはどのようなものであるのか、研究を進めています。
文学教育においては、テクストを「読む」ための力、そして読み取ったものを「伝える」力が涵養されます。自分の頭で考え、そして考えたことを説得的に他者に提示できる能力を身に付けることは、社会生活を営むうえでも不可欠な能力です。研究に裏打ちされた文学教育を通じて社会に貢献していきたいと考えています。
近代日本の探偵小説ジャンル初発期である昭和初期において、このジャンルには、科学的・合理的な謎解きを主眼とする本格探偵小説と幻想怪奇的要素を主眼とする変格探偵小説という矛盾する二系列が包含されていました。戦前期探偵小説の検討を通じ、近代日本における合理的なものと非合理的なもののかかわりについて研究を進めていきたいと考えています。
2009年京都大学文学部卒業、2011年京都大学大学院 人間・環境学研究科 共生文明学専攻修士課程修了、2018年京都大学大学院 人間・環境学研究科 共生文明学専攻博士後期課程修了。
日本近代文学会関西支部運営委員