特任准教授
人文学部
文化学科
ヨーロッパ・地中海研究
研究分野: ドイツ文学
修士課程以来、ドイツの詩人ヘルダーリンの作品に取り組んできました。彼は哲学潮流のドイツ観念論と関係が深く、哲学や思想と関連させて論じることができる点に彼の文学の魅力を見出してきました。加えて、相模原障害者施設殺傷事件(2016年)で顕在化した障害者差別の問題に大きな衝撃を受け、障害が社会のなかでどのように認識されてきたか、障害が社会でどのような意味を持ちうるかを文学を通して考える研究にも取り組んでいます。
博士論文では、ヘルダーリンを「出来事」という概念から読み解きました。「出来事」は、現代思想や文学理論で重要視される観点であるため、18世紀に生きたヘルダーリンの作品が21世紀の今でも読む価値を持ち続けていることを示すことができたと考えます。また、ナチスのT4作戦について書かれた文学を分析し、否定的記憶を後世につないでいくために文学が果たすことができる役割を考察してきました。
ヘルダーリンの詩を新たに翻訳するプロジェクトに参加し、日本の若い世代にヘルダーリンをより身近な詩人にしたいと考えています。また、文学における障害の描かれ方を分析し、障害についての認識を反省的に考察することで、障害のある人もない人もお互いに生きやすい社会の形成に、少しでも貢献出来たらいいと思っています。
北海道出身で、大学入学と同時に関西に来ました。大学図書館で職員をした経験や、ドイツで3年間暮らした経験があります。三重大学には2022年度から勤務しています。
大学図書館で、学生や教職員の方々の学習・研究のお手伝いをしていました。カウンターでの利用者対応だけではなく、図書館の全利用者のデータを管理したり、留学生のための図書館オリエンテーションやツアーも担当していました。