特任講師
高等教育デザイン・推進機構
全学共通教育センター
研究分野： 生物学，生物教育
地球上の生物は進化に進化を重ねて、現在のような多様な姿になったと考えられています。その進化の一端を探るべく、ユキノシタ科クロクモソウやその近縁種を対象に、種分化、分布変遷、倍数化などの現象を追いかけています。教養課程の授業「多様性の生物学」では、１つの種が何をきっかけにどのように生まれ、どう分布を広げていったのか？という、種分化の仕組みや進化の面白さを、様々な研究例を挙げて学生と共有しています。
現在、地球上に見られる生物多様性は、個々の生物が種分化・進化してきて現在までに行きついた結果だと考えられます。生物多様性の保全は緊急の課題ですが、生物についての基礎知識がなければその本質も見えてきません。そこで大学の基礎教育として、生物専攻の学生「以外の」学生に対しても生物多様性の基礎的概念を伝えています。具体的には、生物体系の基礎、生物資料の扱い、進化の仕組み、学名データベースの検索などの話題や実習を通じて、生物多様性について考える基礎を学びます。
生物多様性の問題は一部の専門家の問題ではなく、企業、公的機関の職員から一般人まですべての人が常識として知っていることが必要です。でも、現状では生物専攻の学生以外で教養生物を受講している学生は多くありません。そこで高大連携や大学基礎教育の充実により、すべての学生に対して生物多様性の基礎的概念の浸透を目指しています。さらに地元の総合博物館・科学系機関や生物同好会などとも連携して生物多様性教育や保全に関わる諸問題に取り組む体制を作っていきたいと思います。
私が愛してやまないクロクモソウです。
高大連携 学問探求セミナー「生物多様性とレッドデータブック」（2023年8月1日）
神奈川県出身。一般企業の営業職としてカムチャツカ駐在後、大学に編入学し、植物学教室で理学博士取得。兵庫県立人と自然の博物館学芸員、国立科学博物館支援研究員を経て2017年から三重大学教養教育院、2022年から全学共通教育センター特任講師。
三重県各地の生物調査や保全活動・外来種駆除活動に取り組む他、三重県総合博物館と協力して標本資料整理や学生のための博物館見学会を行っています。2022年からは三重県レッドデータ改訂・植物部門の委員としてレッドデータ植物見直しのための調査や、資料整理に携わっています。2022年から国営土地改良事業「伊勢平野中央地区」環境検討会の委員。
通訳案内業国家資格（ロシア語）
