量子技術を利用した電子デバイスは、Society5.0のインフラとなる可能性を持っています。その機能を物理法則の根源から理論的に解明し、量子計算に代表されるような、飛躍的な情報処理の効率化や低消費電力化の実現を目指してます。量子力学、非平衡熱統計力学等の物理分野を起点に、情報理論等の他分野の成果を取り込み展開したテーマで、アンテナを張り新技術の習得に取り組む技術・研究者の教育を目指しています。
半導体、磁性、超伝導、分子材料を用いて作成された電子デバイスを微細化した量子ドットやMRAMとよばれる構造で発現する新機能の提案や、量子電子デバイスの信号の揺らぎや消費電力や効率等の性質を理論的に解明してきました。学理研究として行っていますが、成果の一部は、量子計算機の基本デバイスである量子ビットの熱的性質の解明に活用されています。
半導体微細化はこれまで研究ターゲットとしてきたナノスケールに迫りつつある様子です。今後は個々の量子デバイスの発熱や信号揺らぎ等の性能評価だけでなく、脳型計算機や量子計算機等、複数のデバイスを集積化した回路における情報処理機能の研究や、デバイス間の相互作用や干渉の研究に取り組みたいと考えています。
1996年東北大工応用物理学科卒業、2001年東北大院情報科学研究科で博士(情報科学)を取得後、マックス・プランク研究所、カールスルーエ大、理研での博士研究員を経て、 2007年東大物性研助教、2010年三重大工准教授より現在に至る。
平成25年度科学技術分野文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞
平成23年度第5回 日本物理学会若手奨励賞受賞
高大連携においては、物理・数学分野が専門。