教授
工学研究科
情報工学専攻
コンピュータサイエンス
研究分野:
量子とは原子などのミクロ世界の粒子です。ミクロ世界では,人間が直接認識できるマクロ世界では想像できないような不思議な現象が起きることが知られており,量子情報科学はその不思議な現象を情報処理・情報通信技術に応用する研究分野です。量子の不思議な現象を巧みに利用する量子計算機によって,情報処理の飛躍的な高速化が理論的に可能です。その一方で,量子計算機によって情報セキュリティ技術基盤が危うくなることも分かっています。
量子情報科学と情報セキュリティ技術を両輪に研究・教育を進めています。その成果として,量子計算機に対して高い安全性を持つ様々な暗号技術の提案とその安全性解析を与えてきました。近年では秘密計算と呼ばれる技術に力を入れています。秘密計算は,複数の組織が持っている機密情報のプライバシーを保護したまま,それらの機密情報から有益な統計情報などを計算することを可能にし,複数の組織にまたがるビックデータ解析技術の基盤として注目されています。
量子計算機をはじめとした量子情報技術の近年の発展には目を見張るものがあります。量子情報社会の到来を見据えて,情報セキュリティ技術を中心にその基盤をさらに深化させていきたいと考えています。特に,現在の情報処理・情報通信技術を量子情報科学でバージョンアップさせるための理論の発展に寄与します。また量子情報技術が発展した社会において,その技術を産業活用する方法の普及に教育活動を通じて貢献します。
2004年京都大学博士課程修了。2004年東京工業大学助手(2007年助教),2014年徳島大学講師,2017年大阪大学准教授を経て,2019年より工学研究科教授。在外研究員として2007年米国ハーバード大学。