教授
研究基盤推進機構
先端科学研究支援センター
植物機能ゲノミクス部門
研究分野:
地球環境の急激な変化は、気候変動によるストレスや新病害による被害を作物に与えており、世界の食料供給が危機に瀕しています。このままでは、世界の人口増加と畜産物の需要拡大を補いきれず、2050年には日本も深刻な食料争奪戦に巻き込まれると予想されています。この危機を乗り越えるには、新たな方法を用いて気候変動や病気に負けない植物を迅速に作り出さなければなりません。この問題を解決するためには、画期的な植物育種法が必要です。
従来の植物育種は、DNAへの変異がランダムに起こることが制限要因となり、膨大な数の候補個体から優良個体を選抜する時間的・費用的に高コストな過程が必要不可欠でした。これに対して私たちが開発した技術では、DNAの塩基配列変化に依存せず、目的とする生物的・非生物的ストレス耐性の鍵となる遺伝子群に特異的な発現変化を引き起こすことができます。この方法は、植物に狙った性質を獲得させることができ、大規模選抜を必要とせず、遺伝子組換えやゲノム編集にも依存しない夢の技術と言えます。
この画期的な育種方法について知財化を進めており、日本および米国に特許出願をしました。この技術は、多くの植物種に様々なストレス耐性や病害抵抗性を付与できる技術であることから、種苗生産、農業、植物工場、薬用植物生産など、あらゆる分野の植物栽培に応用できます。現在、いくつかのアグリバイオ系企業との共同研究を通して、様々なストレス耐性植物や病害抵抗性植物を創り出す事業を展開しようとしています。
昭和63年三重大学生物資源学部助手。平成4年から平成5年にAustralian National University留学。平成15年同助教授を経て平成19年三重大学生命科学研究支援センター教授。平成21年に大学院地域イノベーション学研究科副研究科長、平成25年に同研究科長、平成29年に再び同副研究科長を経て令和3年より再び同研究科長、令和4年より副学長(教育(教学マネジメント、リカレント教育)担当)に就任。専門は植物機能ゲノミクス、植物病理学、植物分子生物学。
日本植物病理学会、日本植物生理学会、日本分子生物学会、地域イノベーション学会に所属。地域イノベーション学会理事。