准教授
研究基盤推進機構
先端科学研究支援センター
植物機能ゲノミクス部門
研究分野: 植物育種学・分子生物学
最も身近なヒルガオ科の植物はアサガオですが、アサガオは自分の花粉の受粉により種子を作ることのできる自殖性植物です。しかし、ノアサガオやサツマイモ栽培種のほとんどは、他人の花粉が受粉してはじめて種子を作ることができる他殖性です。この他殖性は自家不和合性と呼ばれますが、ヒルガオ科植物は独自のシステムを発達させてきました。
ヒルガオ科植物の自家不和合性では、花粉が雌しべの先端に受粉した直後、花粉と雌しべの間でコミュニケーションが起こり、雌しべの自家不和合性の型とは異なる型の花粉のみが花粉管を伸長させ、受精し種子を作ります。この自他認識のコミュニケーションがどのように起きているのか、どんな遺伝子が関与しているのか、ヒルガオ科植物では明らかになっていません。
ヒルガオ科の自家不和合性の自他認識に関わる遺伝子が明らかになれば、自家不和合性(他殖性)を打破し、自家和合性(自殖性)にすることも可能です。サツマイモ栽培種の多くは少数の同じ自家不和合性の型を持っており、同じ型のグループ内に有用な形質を持った品種があったとしても交配して新しい品種を作ることは困難です。この自家不和合性を人為的に制御できれば、交配により新たな有用な品種を効率的に作り出すことができると考えています。
盛岡市生まれ。1995年 岩手大学大学院連合農学研究科修了(博士(農学))。1996年・2004年 オーストラリアCSIRO Plant Industry (Adelaide) 留学・在外研究。