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美味しい海苔をつくり続けるために

柿沼 誠

教授

生物資源学研究科

生物圏生命科学専攻

海洋生命分子化学

研究分野: 海洋生物化学

kakinuma(AT)bio.mie-u.ac.jp
(AT)は@に読み替えてください。

キーワード

  • 水圏生物
  • 海藻
  • 海苔
  • 品種改良
  • 機能性成分

関連するSDGs

  • 背景、動機付け

    皆さんは海苔が巻かれたおにぎりやお寿司、青さのりの入った味噌汁などをよく食べていると思います。海苔(黒のり)や青さのりの原料となる海藻は、水温が低くなる秋から春にかけて海で養殖されていますが、最近は海の状態が悪化してきているため、養殖されている海藻に病気や障害が頻繁に起こっています。病気や障害に強くて美味しい海藻を作りだすために、病気や障害が起こる仕組みを分子レベルで調べています。

  • 成果、活用例

    海の状態が一定の範囲を超えると、海藻は“ストレス”を感じます。ストレスの原因はたくさんありますが、私が注目しているのは水温と栄養です。気候変動による海水温の上昇、海水の低栄養化(窒素やリンの不足)によって、形や色がおかしい海藻(低品質な海藻)ができてしまいます。この時、細胞の中で何が起こっているかを遺伝子やタンパク質レベルで調べるとともに、低品質な海藻の有効活用法の開発などを行ってきました。

  • 今後の展望展開

    海藻が“ストレス”を感じて反応するまでの仕組みを理解することで、おいしい海苔や青さのりをつくり続けるためのヒントをつかむことができるかもしれません。また、海藻に含まれる成分を調べることで、低品質な海藻の有効活用につながるヒントが得られるかもしれません。今後はさらに、“ストレス”に強い品種の開発にも取り組んでいきたいと考えています。

  • 主な研究業績・作品等

    • 柿沼 誠. (2017) 冷凍, 92, 163-170.
    • Kakinuma M, Nakamoto C, Kishi K, Coury DA, Amano H. (2017) Mar. Environ. Res. 128, 76-87.
    • Kakinuma M, Suzuki K, Iwata S, Coury DA, Iwade S, Mikami K. (2016) Fish. Sci. 82, 171-184.

    海苔の原料となる海藻(スサビノリ)の養殖

    栄養が不足すると海藻の色があせる

  • 略歴

    埼玉県生まれ。1993年静岡大学農学部卒業、1995年静岡大学大学院農学研究科修了、1998年東京大学大学院農学生命科学研究科修了、1998年三重大学生物資源学部助手、2017年から現職。

  • 社会とのつながり

    日本水産学会、マリンバイオテクノロジー学会、日本藻類学会、日本応用藻類学会に所属。日本水産学会シンポジウム企画委員会委員、編集委員会委員などを務める。2001年日本水産学会賞奨励賞、2019年日本学術振興会特別研究員等審査会専門委員(書面担当)表彰を受賞。

  • 資格

    二級ボイラー技士(2003年)

  • 高大連携における探究活動の支援分野

    • 環境への課題
    • 自然科学(化学・生物・数学など)への課題