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生活習慣病のしくみを知って予防や治療に役立てる

緒方 正人

参与

医学系研究科

 

 

研究分野:  

カテゴリ

キーワード

  • 慢性炎症
  • 生活習慣病

関連するSDGs

  • 背景、動機付け

    免疫は病原体などの外敵から身を護るしくみで、その一つに炎症反応があります。炎症反応は、病原体を取り除く有益な反応です。しかし、最近肥満などが病原体とは無関係に、弱い、しかし持続する炎症反応(慢性炎症)を起こすことが分かってきました。この慢性炎症は、生活習慣病のきっかけとなったり、それを悪化させます。慢性炎症が生活習慣病につながるしくみを明らかにすることで、生活習慣病の予防や治療に役立てることができます。

  • 成果、活用例

    肥満が慢性炎症を起こすには、もともと体の中に備わっている「MAPキナーゼ」と言う分子が関わっていることを発見しました。実験動物に高カロリー食を与えると、肥満となり生活習慣病がおきます。ところが、「MAPキナーゼ」の働きを抑えてやると、肥満も生活習慣病も起こらなくなります。ヒトで「MAPキナーゼ」の働きを薬で抑えることができれば、肥満や生活習慣病の予防や治療に役立つことが期待できます。

  • 今後の展望展開

    一旦生活習慣病になると、やせるだけではなかなか元にもどりません。このように一旦病気になってしまうと、なかなか元に戻らない病気は他にもあります。生命の性質を決めるDNAの配列は一生変わりませんが、エピジェネティクスと呼ばれる後天的なDNAの変化で性質が「記憶」されるしくみがあります。生活習慣病でもこのようなしくみで病状が「記憶」されてしまっている可能性があり、そのしくみを明らかにすることで新しい治療への道を拓きたいと思います。

  • 主な研究業績・作品等

    • Y Nagai, S Akashi, M Nagafuku, M Ogata, Y Iwakura, S Akira, T Kitamura, et. al. (2002) Nature immunology 3 (7), 667-672
    • N Hatano, Y Mori, M Oh‐hora, A Kosugi, T Fujikawa, N Nakai, H Niwa, et. al. (2003) Genes to Cells 8 (11), 847-856
    • S Takahashi, H Miura, T Shibata, K Nagao, K Okumura, M Ogata, et. al. (2019) Nature genetics 51 (3), 529-540

    MAPキナーゼ分子のp38αは慢性炎症を促進し生活習慣病を悪化させる。

  • 略歴

    1980年大阪大学医学部卒業、同年同附属病院産婦人科研修医、1987年米国NIH研究所研究員、1990年大阪大学医学部助手、2002年三重大学医学系研究科教授、2019三重大学理事、現在にいたる。専門:免疫学、分子生物学。

  • 社会とのつながり

     

  • 資格

     

  • 高大連携における探究活動の支援分野

    • 医療・福祉の課題