高分子には階層性があり、「ナノスケールの材料物性がマクロな性質を支配する」といわれ、薄膜状態や界面(物質と物質の境界)では特異的な性質を示し、機能性に大きな影響を及ぼします。この機能界面のデザイン力と材料物性眼を兼ね備えた能力を育てることが学生に対する教育目標です。それら高分子材料の構造評価や物性解析といった最先端の材料科学と界面科学を融合し、高機能性材料の創出を目指すことで社会に貢献します。
高分子材料に関する学理の深化を目指して、以下の基礎研究に取り組みました。高分子薄膜の分子運動特性解析、界面吸着鎖の形成メカニズム解明と機能開拓、ナノ多孔性高分子による環境浄化材料の創出、水圏機能材料のバイオ・環境機能開拓を行いました。カーボンニュートラル/ゼロエミッションの実現を目指した地域社会と連携した取り組みとして、材料の精密な構造・物性評価を活かした高度資源循環も展開しています。
修養が広い学生を育て、社会でフロントランナーとして活躍できる人材を輩出ることを目標に教育に努めます。さらに、基礎科学を追究するだけでなく、省エネルギー/環境低負荷に資する材料創製や高分子技術を活かした半導体の封止材や樹脂の劣化・破壊の研究開発を通して地域との繋がりを深めます。それにより、「ローカルの覚醒がグローバルを加速する」機運を高め、高分子科学の観点から持続可能な社会へと貢献します。
2008年ボストン大学博士研究員、2010年より九州大学工学研究院助教、2012年(研)物質・材料研究機構にて研究員・主任研究員を経て、2016年から三重大学大学院工学研究科准教授。現在に至る。