教授
工学研究科
情報工学専攻
知能工学
研究分野: ネットワークセンシング
みなさんのまわりに設置されている通信用の光ファイバは、センサとしても非常に有用です。ブリルアン散乱現象を利用したシステムの中には、数cm程度の位置間隔で、数十kmを超える長距離にわたるひずみや温度の計測が可能なシステムもあり、減災に向けたモニタリングへの応用が進められています。このシステムの弱点となっている、ひずみや温度の局所的変化の検出などを克服するための信号解析を研究を行っています。
光ファイバで観測される信号の特性を理論的・実験的に明らかにするとともに、企業・研究機関・大学と共同で、構造物の基本構成部材である梁、建設中の地下鉄トンネル、現場打設コンクリート杭、船舶などのひずみ計測を行い、光ファイバセンシングの損傷モニタリングへの適用可能性を実証しました。外国企業との共同実験によって、掘削による地下鉱山の地盤変化を捉えることができることも確認しました。
光ファイバの各計測位置において、色(周波数)ごとに光の明るさ(強度)が観測されます。この観測信号は、画像と類似しているため、現在、研究が進められているニューラルネットワークなどのAI技術の利用が可能です。観測信号の物理特性や観測条件、さらに計測するひずみをも考慮した、AI技術をベースとする新しい計測方法の開発を進め、さらに、産官学連携によって安心で安全な生活環境の実現に貢献できればと考えています。
東京都生まれ、 1984年日本電信電話公社(現日本電信電話株式会社)入社、研究所や本社で勤務、2005年三重大学工学研究科教授、現在に至る。1993年5月博士(工学)取得(画像による3次元位置計測の高精度化とその設備調査への応用に関する研究)
日本電信電話株式会社では、研究所での研究開発に加え、本社機関において光ファイバ導入の牽引を行いました。また、光ファイバセンシングの研究開発において、国内の複数の企業や研究機関、大学、また、海外の企業とも共同研究や実証実験を行い、本センシングのビジネス創出に貢献しました。
第19回桜井健二郎氏記念賞(財団法人光産業技術振興協会)
電子情報通信学会フェロー称号:光ファイバひずみ計測技術とその応用に関する研究開発及び実用化