IVRはインターベンショナル・ラジオロジー(Interventional Radiology)の略で(国際的な略称はIR)、画像下治療や血管内カテーテル治療という和名があり、X線透視やCTなどの画像でからだの中を透かして見ながら細い医療器具(カテーテルや針)を使って動脈瘤や腫瘍の検査・治療を行う放射線科の一分野です。
低侵襲であるためからだへの負担が少なく、高齢の患者さんや外科的治療が難しい患者さんでも治療を受けられます。迅速性が高く、治療の結果としての効果がすぐに現れるのも特徴のひとつであり、IVRによるがん治療が適応となる場合は、長く続く薬物療法にかかる費用などと比べて廉価で済むため、医療費削減への貢献が期待されています。また、がん自体に対して行う治療はもちろん、さまざまなつらい症状をやわらげる緩和的な治療も積極的に行っています。
1980年代に米国で始まった技術で、日本では80年代の中頃から広まり始め、今やIVRはさまざまな医療の領域で欠かせない存在となっています。IVRはカテーテルなどの機器・器材の発達とともに、治療できる疾患も増え、高齢化社会を背景に、需要が高まっています。医療者の教育を含むIVRの普及や機器開発、各治療法の治療成績などの研究によって社会貢献したいと思います。
日本医学放射線学会放射線診断専門医、日本インターベンショナルラジオロジー学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医