16、17世紀のイギリス演劇を研究しています。シェイクスピアに代表される演劇文化が花開いた当時のロンドンで、劇世界の虚構が、観客の生きた現実とどのように相互に作用していたのかに興味があります。激動のロンドンに生きた人々が何を演劇に見いだしていたのか、そして演劇は観客の現実をどのように表象したのかについて考えています。
ルネサンス期のイギリスは、中世から近代への移行期であり、思想や宗教、経済が大きな変革を迎えていました。そのような時代に、演劇というメディアが社会の変化にどのように反応し、さまざまな傑作を生み出したのかを考えることは、社会と演劇との関わりを考える上で新たな知見を提供してくれると考えています。
現在は、17世紀初頭に人気を博した都市喜劇というジャンルに着目しています。ロンドンを舞台とし、ロンドン市民を描く都市喜劇は、観客の日常を映し出しました。当時の観客は、自らの日常空間に近接する劇場で、都市喜劇に何を見出したのかについて、研究を進めていきたいと考えています。
名古屋外国語大学講師を経て、2020年より三重大学人文学部准教授。
2017年日本英文学会関西支部奨励賞受賞、2020年日本シェイクスピア協会奨励賞。