講師
医学系研究科
生命医科学専攻
基礎医学系講座
研究分野: 発生再生医学
自閉症は生まれながらの発達障害で、コミュニケーション障害・社会性の障害・こだわりが主な症状ですが、くわえて聴覚過敏などの感覚障害をもつ場合が多くみられます。感覚障害のために学校における集団生活を送ることができないなど、日常的に困難に直面している患者も多くいます。しかし感覚過敏は他覚的に評価しにくく個人差も大きいため、その原因や病態のメカニズムについてはあまりわかっていませんでした。
自閉症モデルラットの脳を解析し、聴覚に関わる領域の一部である台形体核に異常を見出しました。台形体核は普段、神経活動を抑える働きをしているので、台形体核の異常で聴覚過敏が生じたことが明らかになりました。台形体核は音が聞こえてくる方向も判断しているので、音の聞こえに関する新たな問診項目の提案をしています。
脳のはたらきは興奮と抑制のバランスで制御されています。バランスが崩れることで病気が引き起こされる例は多く知られています。聴覚以外にも触覚過敏などさまざまな感覚異常が知られており、共通の脳領域の関与も考えられます。感覚異常のメカニズムを解明することで診断の技術開発や自閉症児のQOLの向上に寄与できると考えています。
広島県出身。1998年お茶の水女子大学理学部卒業、2003年同大学院博士後期課程修了。2001年日本学術振興会特別研究員(DC2)。2003年愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所ポスドク、2007年中部大学助教を経て、2010年三重大学助教、2021年三重大学講師。2022年より三重大学ダイバーシティ推進室を兼務。専門:系統解剖学、神経科学。
国立大学協会 教育・研究委員会 男女共同参画小委員会 専門委員、三重県医師会 男女共同参画委員会 委員、三重県 少子化対策推進県民会議 委員。三重大学医学賞(2017)、日本先天異常学会奨励賞(2018)、三重大学医学部 教育貢献賞(2020)