農業用のダム・ため池、頭首工(堰)、水路などの水利施設は、現在では全国に概ね整備され農村地域や農地に過不足なく水を送ることができているように見えます。しかし、これらの水利施設が作られてから約半世紀が経とうとしている現在、自然災害や老朽化による不具合が徐々に顕在化してきています。今のところ、これらの不具合への対応は、使用性の低下につながる異常が発生してから行うことが多い状況です。しかしながら、これらの水利施設を監視、診断、解析することで、「まだ壊れない」、「そろそろ改修や補修が必要」と判断する技術の開発が求められています。
水路の劣化状況の1つである摩耗の状況の診断について、空中超音波を利用して診断する機器を企業と一緒に開発しました(H26農水官民連携事業)。また、パイプライン内で侵略的外来種であるタイワンシジミが異常発生し末端給水栓で詰まるという被害に対して、適切な排出場所を計算するプログラムを開発しました。また、土でできたダムやため池の地震時の挙動について、近年発生した地震で実際に被災したダムの被害を精度よく予測できる数値解析手法の開発を行っています。
水路のスマート技術による監視によって、水路維持管理の労力軽減を図ったり、用水配分の異常をカメラで把握できるシステムを構築したり、農業用水路の多面的な機能を評価することで、農業用水路の維持管理の高度化と価値の再評価を行いたいと考えています。また、ダム・ため池や頭首工といった水利施設について、事故が発生する前に異常を検出できるような技術開発を進めていきたいと考えています。
熊本県熊本市出身
2022 共同研究(丸栄コンクリート工業,ディ・アンド・ディ)
2022 共同研究(丸栄コンクリート工業,ライノジャパン)
2022 共同研究(MTS雪氷研究所)
2022-2024 農水省官民連携新技術開発事業(ナカダ産業,NTCコンサルタンツ)試験研究機関