私の出発点は、インド仏教思想における認識論・論理学でした。言語を超越した神秘的な世界観で知られるインドが、論理的・哲学的側面も併せ持っていたことに驚き、興味を抱いたからです。それに加えて、これまでの仏教史を僧院という視座から見直したい、とも考えるようになりました。現在では、国内外の研究者の方々とともに、インド仏教の僧院に関する研究プロジェクトを進めています。
上述の研究プロジェクトは、科研費によって進められています(課題番号:18H03569&22H00002)。その成果報告を含むニューズレターは、三重大学学術機関リポジトリでオンライン公開されています(https://mie-u.repo.nii.ac.jp/)。また、主に高校生向けにプロジェクトの内容を紹介するサイトも作成しました(https://www.sekaiwokaeyo.com/theme/l2395/)。さらに、このプロジェクトと連携するかたちで海外の研究者を招へいし、研究会や講演会も開催しています。
インド仏教の僧院は、「インド仏教史上の拠点」としての重要性を有しています。いくつかの代表的な僧院は、少なくとも(インド仏教が衰微したとされる)13世紀頃までは実際に機能していました。その僧院の観点から、他分野の研究者も含む国際的な研究体制によって「インド仏教史の新たな全体的枠組み」を生み出したいと考えています。インド仏教史は学界や社会にも影響力を持つため、その成果には大きな波及効果が期待できます。