近世の中国はすでに身分制のない競争社会で、その競争社会を生き抜くために人々はどのような戦略をとったのかを研究しています。たとえば官僚登用試験の科挙、科挙に匹敵する特権を得られる善行者、特に女性への表彰、自ら去勢して権力と財を手に入れられる可能性のある宦官になることについて研究しています。これらは私たちはどのように現在を生き抜くか、競争社会のもつ問題点、ジェンダー問題について考えることに繋がります。
現代日本と同じ競争社会に千年近く前からなっている中国の歴史を研究することは、今後日本がどうなっていくのか、どうすればよりよい社会になるのか、自分の幸せは何なのか等、考える機会を与えてくれます。また、中国女性史も調べており、男女共同参画、ダイバーシティーが叫ばれる現在において、ジェンダーギャップ指数ランキングが日本より上位の中国の女性はいかなる歴史を経て現在にいたっているのかを知ることは、日本においても参考になります。
時代も地域も異なる文化への理解を深めることは、自らを客観的に見つめなおすうえで有効ですので、今を知るために引き続き過去の中国で生きた人々について調べていきたいとおもいます。またこれまでも、そしてこれからも繋がりの強い中国を理解することは必要不可欠です。また、ジェンダーフリーな社会実現に向けて、中国の過去における性観念も研究していきたいと考えています。