教授
工学研究科
機械工学専攻
量子・電子機械
研究分野: 生体システム工学研究分野
機械や構造物の設計にあたっては,製作されたものが使用期間中に破壊したり,大きく変形したりしないようにしなければなりません.機械や構造物に用いられる部材がもつ破壊に対する抵抗を強度,また変形に対する抵抗を剛性と呼びます.十分な強度と剛性を有する安全な機械・構造物を設計するためには,外力が作用したときの部材内部の応力やひずみを解析することが必要です.この応力やひずみを取り扱う学問を材料力学・固体力学と呼び,これまでに本学問を心臓や脊椎といった生体の機能解明に応用した研究に携わってきました.
ヒトは脊椎動物の仲間です.脊椎とは一般的には背骨のことで,24個の椎体とそれを連結する椎間板や靭帯によって構成されています.脊椎の役割には体重を支える働き,体に柔軟な屈曲や回旋などの動きを与える働き,脊椎の中を走る神経を保護する働きの3つがあります.その脊椎が病気や怪我によって損傷を受けてグラグラになったときは,脊椎インプラントと呼ばれる金属製の器具で,損傷した脊椎を固定する手術を行います.本研究室では,医工が連携して,脊椎運動の力学的評価に取り組むことにより,脊椎インプラントの開発を支えるための共同研究を行っています.
バイオメカニクス(生体力学)とは,生物・生体に適用される力学を総称するものと定義され,生体システムを力学的観点より理解することを探求する学問分野です.生体器官に関して,バイオメカニクスはその正常な機能の理解,疾患などによる機能変化の予測,および人工的な介入方法の提案などを行うための一助となります.このように,診断,治療,手術,および人工器官など多くの医学的事象はバイオメカニクスと密接に関連しています.これからも,材料力学を基盤とした心臓および脊椎のバイオメカニクスに関する研究を,医工連携のもとで精力的に進めていきたいと考えています.
三重県立伊勢高等学校の出身です.平成3年に三重大学大学院工学研究科修士課程を修了後,美和ロック株式会社に入社しました.平成7年に三重大学工学部に着任し,平成21年から現職を務めております.
三重大学大学院工学研究科修士課程を修了後,4年間,美和ロック株式会社に在籍しました.その間,製品開発部設計課に所属し,新機能錠前の設計・開発業務に従事しました.