最近は、気候変動問題やSDGsといった背景から、木材利用、とりわけ国産材の利用がとても注目を浴びています。身近な資源を適切に管理しながら使うことは、輸送などにかかる無駄なエネルギーの削減や、世界のどこかの場所にある資源を、その土地の人々のために残すことに繋がります。持続可能な社会づくりのキーワードは資源とエネルギーの地産地消だと考えており、地産地消に貢献する活動をしたいと考えています。
木材を地産地消することによる気候変動問題への貢献、すなわちCO2などの温室効果ガスの排出削減効果を具体的な数値であらわす、といった研究を行ってきました。例えば、同じ建物を建てるとき、地域の木材を使った木造で建てるほうが、鉄筋コンクリート造で建てるよりも温室効果ガスの排出量が何割も少ないことなどを明らかにしてきました。このような木材利用の気候変動問題に対する有効性などを、セミナー等を通して建築の専門家や行政の方などに伝えています。
気候変動問題への対応が求められる中で、これまで樹脂や金属でつくられていた製品を、木質由来の材料に代替する動きが本格化しています。これまでと全く違った質と量の木材需要が発生したときに、供給者側が応えるためには、資源量に関するデータベースの整備や安定供給のためのサプライチェーンなどが必要です。同時に、供給される木質材料が「本当に温室効果ガスの排出削減につながるのか」をしっかりと検証し続けなければなりません。このための体制づくりが必要だと考えています。
佐賀県伊万里市出身。大学で森林科学を学んだ後に、NPO法人京都府地球温暖化防止府民会議(京都府温暖化防止センター)に勤務。木材の産地認証制度の設計・運営に携わる。その後2016年から現職。
前職で環境NPOに勤務しており、木材の産地認証制度の設計・運営を中心業務とする一方で、子ども向けの環境教育や、講演会・イベントなどの企画・運営、広報活動などを幅広く行ってきました。市民活動歴、NGO/NPO活動歴は長いほうだと思います。いくつかの環境系の団体や木材関係の団体で理事やアドバイザーをしています。