動脈瘤内の流速、渦形成など多種多様な血行力学を詳細に評価する技術が数値流体力学 (computational fluid dynamics, CFD) です。
動脈瘤の破裂リスクは、脈瘤の最大径や形状等様々に考えられていますが、その詳細は未だ不明な点が多く存在します。謎を解く鍵が瘤内の血行力学にあると考え、CFDを用いて脳動脈瘤の破裂状態、破裂点、止血血栓形成や動脈瘤壁の肥厚性リモデリングなどの血行力学的な特徴を解明してきました。
根治困難な複雑な形状の巨大脳動脈瘤の治療法として、動脈瘤のコイル塞栓術やflow diverter stentを用いた脳血管内治療が行われていますが、術後の合併症が起きないように、CFDで術前の患者固有血管形状を用いてシミュレーションを行い、より安全な医療を提供していきたいです。今後は動脈瘤の破裂率などをより正確に予想できることが必要だと考えています。
従来のコンピュータ支援設計 (computer aided design: CAD) ステントを用いたシミュレーションでは,解析処理に数日を要するため迅速な術前シミュレーションが困難ですが、定常解析であれば,1分程度で解析可能になると考えています。また、CFDを用いた動脈瘤の破裂メカニズムの解明を目指しています。
2009年 自治医科大学医学部卒業、三重県内の病院にて従事
2017年 三重大学大学院医学系研究科卒業、破裂脳動脈瘤における血流うっ滞と血流の複雑性:破裂脳動脈瘤の止血パターンとの関連についての研究で医学博士取得
2021年~三重大学医学部附属病院 脳神経外科 助教
第85回日本脳神経外科学会中部支部学術集会優秀論文賞
第89回日本脳神経外科中部支部学術集会優秀論文賞
第80回東海総合画像医学研究会優秀論文賞
吉田壽記念三重医学研究振興会賞
脳神経外科専門医