准教授
みえの未来図共創機構
研究分野:
昨今の農業においては、農家の減少や農地集積の進展による、大規模な企業的経営体の成長が見られます。そのため、作物品種の多様化による水需要の複雑化に対応した送配水の実現など、きめ細かな水管理の必要性が生じています。こうした現状課題に対応するために、用水需要に応じた適正な送配水を実現できる、情報通信技術(ICT)を活用した農業水利施設の監視・制御手法について研究しています。
主に水田地区におけるICTを活用した水管理システムの構築に向けて、国・地方自治体、民間企業などと連携して研究を続けています。これまでに、新潟県、山形県などで水管理システムを構築した事例があり、水管理にかかる施設操作を自動化することで、きめ細かな水管理を実現するとともに、水管理労力の削減や節水の効果が得られています。
これまで国・地方自治体では、主に水田灌漑地区を対象に、ICT活用による水管理システムが導入されてきましたが、畑地灌漑地区への同システムの導入事例は少ない状況にあります。また、畑地の中でも、果樹(たとえば、柑橘など)の水管理システムとなると、さらに少なくなります。そのため、今後は、果樹の水管理を対象に、水源からほ場への送配水操作において求められている現場ニーズを汲み取り、国・地方自治体と協力した施設整備方針の検討や、民間企業との技術開発に役立てたいと考えています。
長崎県生まれ。株式会社三祐コンサルタンツ、農研機構農村工学研究部門を経て、2023年より三重大学みえの未来図共創機構地域共創展開センター准教授。
農業農村工学会、土木学会所属。2015年農業農村工学会賞教育賞、2017年農業農村工学会九州沖縄支部賞優秀賞、2022年農業農村工学会賞沢田賞など受賞。