水産物は私たちにとって重要な食料資源であり、世界的な需要は高まっていますが、その生産を取り巻く環境は大きく変化しつつあり、必ずしも良好とは言えません。私たちは、海産無脊椎動物の生産に必要な微細藻類の特性や利用法に関する研究、えび類の種苗生産や養殖手法に関する研究などに取り組むことで、今後ますます重要となる、人為的管理下における水圏動物の効率的な生産に貢献したいと考えています。
えび類の生理学および内分泌学的研究に基づく生殖調節機構の解明や、閉鎖循環式養殖システムでのえび育成・健康管理に関する特許取得の実績があるほか、周辺地域の企業や公設試験場などと、貝類や甲殻類の生産に関する共同研究も行っています。
様々な生物が持つ生体調節機能を理解できれば、それらを活用した水産資源の持続的な生産に繋がります。人為的環境下での配偶子形成から種苗の獲得は、環境変動とも相まって、今後多くの種で求められる可能性があります。その手法の導出に、関連する地域の企業・機関と連携することで貢献していきたいと考えています。
1996年埼玉大学理学部卒業。2001年東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了後、JIRCAS特別研究員、メリーランド大学研究員、岡山大学理学部特任助教等を経て,2018年から三重大学生物資源学部准教授。2022年から現職。