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脱炭素化に貢献する木質バイオマスの高度利用研究

野中 寛

教授

生物資源学研究科

資源循環学専攻

森林資源環境学

研究分野: 木質分子素材制御学

nonaka(AT)bio.mie-u.ac.jp
(AT)は@に読み替えてください。

キーワード

  • バイオマス
  • セルロース
  • リグニン
  • バイオリファイナリー
  • 脱炭素

関連するSDGs

  • 背景、動機付け

    地下資源である化石資源を掘り出して使う限りは,地上のCO2濃度は増加する一方です。木質バイオマス(=木本・草本リグノセルロース系バイオマス:木材,竹,穀物茎など)は,二酸化炭素と水から光合成によって形成され,かつ,国内にも大量に存在する「再生可能有機資源」です。脱炭素社会の構築には,太陽光,風力,水力,地熱発電などとともに,これら植物資源を原料として様々な製品をつくりだし,化石資源代替を促進することが必須です。

  • 成果、活用例

    木質バイオマスの主成分は,セルロース,ヘミセルロース,リグニンという高分子です。そのすべてをうまく分離し,有効に活用することこそが,木質バイオマス利用促進の鍵です。既存のパルプ化法や糖化法に,フェノール類やアルコール類を添加し,「パルプや単糖」と「高付加価値なリグニン」を同時回収可能なプロセス開発に力をいれています。また得られたリグニンの特性解析や用途開発も重要なテーマです。一方,三成分を分離せずに,半炭化する,ナノファイバー化する,溶剤に溶かす,あるいは,木材由来のバインダーを用いてオールバイオマス製品をつくる研究開発も行っています。

  • 今後の展望展開

    木材,竹,茎,根,コーヒー粕など,あらゆるバイオマス資源を対象にしています。共同研究は常時受け付けておりますので,メールにてご連絡ください。競争的資金への応募も常時行っています。化学工学,農芸化学,林産化学分野で培った幅広い知識・経験をベースに,既存技術が実用化に至らない理由を精査,急所をおさえた研究を展開し,将来的に民間企業で社会実装いただける技術開発を目指しています。

  • 主な研究業績・作品等

    • Matsuoka, Takuma; Kumagai, Kikuna; Nonaka, Hiroshi; Thermal extrusion of cellulose using hydroxypropyl methylcellulosehydrolysis, Cellulose, 29, 2975-2983 (2022).
    • Shiraki, Yuya; Goto, Tomohiro; Nonaka, Hiroshi; Concentrated sulfuric acid hydrolysis of softwood with t-butyl alcohol, Biomass Conversion and Biorefinery, 11, 937-941 (2021).
    • TAO, Xiangyu; Nonaka, Hiroshi; Wet extrusion molding of wood powder with hydroxy-propylmethyl cellulose and with citric acid as a crosslinking agent, Bioresources, 16(2), 2314-2325 (2021).

    ウッドストロー(コーヒー粕・木粉・竹粉)

    当研究室の淡色リグニンの一例

  • 略歴

    東京大学工学部化学システム工学科卒業,東京大学大学院工学系研究科 化学システム工学専攻 博士後期課程修了・博士(工学)。2002年(財)地球環境産業技術研究機 研究員,2005年 三重大学 助教授,2006年 米・ノースカロライナ州立大学客員研究員,2018年より三重大学 教授

  • 社会とのつながり

    木材学会中部支部長,セルロース学会東海・北陸支部長,リグニン学会評議員,日本エネルギー学会バイオマス部会幹事など。2020年紙パルプ技術協会賞,印刷朝陽会賞,ウッドデザイン賞2018入賞,平成27年度セルロース学会林治助賞,平成25年度日本エネルギー学会・進歩賞(学術部門)などを受賞

  • 資格

    非公開

  • 高大連携における探究活動の支援分野

    • 環境への課題
    • 自然科学(化学・生物・数学など)への課題