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伸縮性細胞外基質を用いた再生医療技術開発への挑戦

宮本 啓一

教授

工学研究科

分子素材工学専攻

素材化学

研究分野:  

miyamoto(AT)chem.mie-u.ac.jp
(AT)は@に読み替えてください。

キーワード

  • エラスチン
  • 細胞外基質
  • ジャカリン
  • 人工臓器
  • 再生医療

関連するSDGs

  • 背景、動機付け

    生体組織は、骨・軟骨などの硬組織から、皮膚・靭帯・血管・肺などの伸縮性の軟組織まで多種多様です。生体組織中の細胞足場としての構造成分は、細胞外基質と呼ばれ、主に硬い性質のコラーゲンと、伸縮性のエラスチンが知られています。現在、世界中で再生医療のための幹細胞活動を運命付ける要として、細胞外基質の応用が試みられています。既にコラーゲンは実用化されているのに対し、エラスチンは素材開発が困難で未だ実現されていません。私は、このエラスチンの素材開発に取り組み、伸縮性細胞足場材料の開発に成功しました。

  • 成果、活用例

    生体組織(ブタ大動脈)から高純度の水溶性エラスチンを抽出、精製、分画して調製する技術を開発しました。更に、細胞の足場材料として任意の形状に伸縮性を再現しながら成形加工する方法や、ナノ・マイクロファイバー化する技術を開発し、臓器、器官を再生する方法論に関して多数特許出願しています。また、水溶性エラスチンの細胞応答に関する研究成果から、大学ベンチャーを起業し、研究用試薬や健康食品などの商品化を通じて、エラスチンの治療用素材としての実用化に向けた取り組みを進めています。

  • 今後の展望展開

    伸縮性組成のための再生医療用足場材料は、現状では非常に研究例が少ないです。現在、工学部と医学部で連携し、学部を超えた細胞外基質の共同研究および臨床応用を視野に入れた治療用関連研究を行っています。今後は実現に向けた挑戦を展開します。

  • 主な研究業績・作品等

    • 特許US7,125,960 Crosslinked elastin and process for producing the same
    • 特許USS9,085,758 Method of culturing vascular smooth muscle cells, culture device and medical obtained by the culture.
    • Jacalin regulates IgA production by peripheral blood mononuclear cells Immunotherapy (2012) 4(12), 1823–1834

    エラスチン組織工学材料

  • 略歴

    北海道大学理学部卒業、理学研究科修了(血液浄化材料研究)、1993三重大学工学部助手(リウマチ病因物質研究)、2004三重大学助教授・准教授(医用材料開発~現在)、2018三重大学大学院工学研究科教授~現在。2005有限会社細胞外基質研究所を設立~現在(代表取締役)。

  • 社会とのつながり

    ライフサポート学会(評議員)、日本人工臓器学会(評議員)、日本化学会(東海支部幹事)。研究成果の事業展開として三重大ベンチャー企業(細胞外基質研究所)を設立し活動中です。

  • 資格

    危険物取扱甲種
    食品衛生責任者

  • 高大連携における探究活動の支援分野

    • 医療・福祉の課題
    • 自然科学(化学・生物・数学など)への課題