人を含めた脊椎動物の細胞の多くが、”一次線毛”と呼ばれるアンテナ様の線毛構造を細胞表面から伸ばしています。最近の研究によって、この一次線毛が細胞機能や組織の恒常性維持に深く関わること、一次線毛が異常になると様々な病気の原因になりうることが次々に明らかにされ、一次線毛を対象とする研究の重要性が増しています。
私たちは、一次線毛に異常をきたす遺伝子改変マウスを独自に開発して研究を進めてきました。その結果、一次線毛が損傷した骨格筋の修復や、脂肪の蓄積(肥満)を調節していることを発見し、そのメカニズムを明らかにしてきました。
一次線毛の観点から細胞・生体機能を解き明かすことで、新たな生命の仕組みや病気の原因を見つけ出し、一次線毛を治療標的とする新しいタイプの創薬開発につなげていきたいと考えています。
千葉県出身、2001年千葉大学薬学部卒業、2007年千葉大学大学院医学薬学府後期博士課程修了(博士・医薬学)、2007年〜2016年愛知県がんセンター研究所・研究員、2016年より三重大学大学医学系研究科分子生理学分野・准教授
日本癌学会奨励賞(2018年)
薬剤師免許