地球の表面積の7割を占める海は,大気を暖めたり冷やしたり,水蒸気を大気に与えたりすることで,地球の気候に大きな影響を及ぼしている。また,海から取れる魚介・海藻類等は,今後増え続ける人口を支えるための重要な食糧源となると考えられている。本研究室では,気候変動・海洋生物資源という二つの観点から海の研究を進めている。数値シミュレーション,人工衛星観測等のリモートセンシング,現地直接観測など多様な研究手法を駆使し,気候系,生態系における海洋の役割を解明していくための教育研究を行っている。
熱容量が大気の約 1000 倍ある海洋は, 温室効果ガスの排出によって宇宙空間に射出されずに残存した過剰なエネルギーの大半を貯蔵するとともに, 主に蒸発の形で大気に徐々に放出しているはずである。全球平均と比して日本近海は急速に温暖化している海域である。これまでに行った研究において, 日本近海の海水温上昇に伴う海洋から大気へのエネルギー供給の強化が, 集中豪雨などの異常気象の頻発化・激甚化に及ぼす影響について調べてきた (例えば, Manda et al. 2014; Manda et al. 2022)。
今後は, 海水温変化が蒸発量の長期変化傾向に及ぼす影響, ② 蒸発量の変化が水蒸気輸送に及ぼす影響, ③ 水蒸気輸送の変化が降水システムに及ぼす影響というそれぞれ関連しあった3つのテーマで研究を遂行していく。最終的にこれらのテーマの結果を, ④ 将来変化の評価, で統合し, 将来予測につなげる。
2001年11月 長崎大学水産学部助手
2002年8月 長崎大学大学院生産科学研究科助手
2007年11月 長崎大学水産学部助教授
2011年4月 長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科水産科学領域准教授
2016年3月 三重大学大学院生物資源学研究科准教授
日本気象学会学会誌Scientific Online Letters on the Atmosphere編集委員
三重県公共工事等総合評価意見聴取会委員