建物利用者が健康で快適に過ごすために,冷暖房などの設備機器を利用しています。これらの機器で消費される電力は主に輸入に頼る化石燃料に由来することから,エネルギー安全保障や環境負荷低減等の観点から,省エネルギーが求められています。
快適性と省エネルギーの両立を図るためには,設備機器単体の高効率化だけでなく,システム全体の最適化が重要です。
当研究室では,省エネルギーに資する技術のひとつとして「蓄熱技術」に着目しています。
蓄熱技術を利用することで,冷暖房の需要に合わせて冷温熱を製造する必要がなく,過不足を蓄放熱により調整することができるので,冷暖房機器の効率や電力の供給余力を優先した熱源機運転が可能となり,システム全体としてエネルギー消費量を低減することができます。
当研究室では,主に蓄熱式空調システムの最適設計・性能評価に関する研究を行い,蓄熱槽の温度分布を予測するための槽内混合モデルの開発に取り組んできました。
蓄熱技術の特長をいかした省エネルギー手法や再生可能エネルギー利用の研究に取り組みたいと考えています。冷暖房の空調分野に限らず,熱エネルギーの需要と供給に関するさまざまな問題について,産官学の連携を進めたいと思います。
大阪府生まれ。三重大学助手,助教を経て現職。
日本建築学会奨励賞,空気調和・衛生工学会論文賞,日本太陽エネルギー学会論文賞を受賞