有害・有毒プランクトンの大増殖は,漁業被害や食中毒などの深刻な問題を引き起こす要因となっています。地球温暖化の進行に伴い,これらのプランクトンの分布拡大や赤潮の悪化が懸念されています。そこで,形態的特徴の観察および遺伝子解析によって正確な種の同定を行い,増殖に好適な環境要因を明らかにすることで,赤潮の発生予測に貢献することを目指しています。
有害ラフィド藻シャットネラ属内の2新種を記載し,正確な種同定に有用な形態的特徴を明らかにしました。さらに,東南アジアおよび東アジアにおけるシャットネラ属4種の地理的分布と生理・生態的特性の違いを解明し,赤潮を引き起こす環境条件への理解を深めました。
水産業が盛んな三重県を主なフィールドとして,沿岸各地や内湾域で試料採取および海洋観測を行い,植物プランクトンの出現状況や環境要因を把握するとともに,漁業被害の最小化に向けた研究に取り組んでいます。
マレーシア出身。2017年に東京大学大学院農学生命科学研究科に入学し,2020年に修士(農学)を取得,2023年に博士(農学)を取得しました。その後,日本学術振興会外国人特別研究員として研究活動を続け,2024年より三重大学大学院生物資源学研究科に着任しました。