デジタル時代の消費者行動と幸福感

現代の消費活動は、モノやサービスの購入だけでなく、娯楽や社会的交流といった快楽的・社会的価値を重視する方向へと変化しています。また、デジタル技術の進展とともに、多様な消費価値観や社会的つながりが生まれています。私の研究では、文化やパーソナリティがデジタルサービス利用に影響を与え、その利用がさらに社会的つながりや幸福感にどのような効果をもたらすかを明らかにしています。

カフェ・茶館やオンラインゲームでの体験を通じ、社会関係資本（人とのつながりによる資産）や幸福感の向上を実証しています。「弱い紐帯」（面識の浅い人との交流）が新たな情報や社会的つながりを広げ、幸福感にも寄与することが分かりました。また、ライブショッピングでは、社会的存在感（メディアを介して他者と同じ空間を共有する感覚やそこから生じる対人関係の認知度）がサービスへの態度に影響することを示しています。

今後は、日本・米国・中国の比較研究を通じてグローバルな消費者行動理論の発展を目指すとともに、AIを活用した消費者行動分析やパーソナライズド・マーケティング、チャットボット等による新たな消費者体験の探究にも取り組みます。また、デジタルサービスを活用した地域活性化や観光地集客、地方創生のため、地域・企業と連携した社会実装も進めていきます。

• Ni, S., & Ueichi, H. (2024). Factors influencing behavioral intentions in livestream shopping: A cross-cultural study. Journal of Retailing and Consumer Services, 76, Article 103596.
• Ni, S., & Ishii, K. (2023). The relationship between consumer behavior and subjective well-being in Chinese teahouses and cafes: A social capital perspective. Journal of Leisure Research, 62(4), 429-452.
• Ni, S. (2021). Collaborative consumption in China: An empirical investigation of its antecedents and consequences. Journal of Retailing and Consumer Services, 62, Article 102632.
• 論文被引用回数の詳細は https://scholar.google.co.jp/citations?user=i_kz8O8AAAAJ&hl=ja をご参照ください

中国広東省出身
2016年4月 - 2022年3月 筑波大学 システム情報工学研究科 社会工学専攻 (博士号取得)
2022年4月 - 2022年９月　筑波大学システム情報系　博士特別研究員
2022年10月 - 2024年3月 名古屋大学 大学院経済学研究科 助教
2025年4月 - 現在 三重大学 人文学部 法律経済学科 講師

2024年5月～2026年12月　雑誌「Data Science and Management」(Online ISSN: 2666-7649) のAssociate Editor

• 社会科学（政治・経済など）への課題