昔の日本人が和歌を詠んで何をしていたのか、和歌の機能が研究課題です。「文学は役に立たないから不要」と言われることがありますが、本当にそうなのか疑問に思い、和歌が日常の中でよく詠まれていた平安時代を対象に研究してみようと思いました。また、和歌が日本人の営みの中でどのような史的展開を遂げたのか、和歌史についても考えています。
今まで人が亡くなった際に詠まれる哀傷歌、コミュニケーション・ツールとしての和歌、宴における和歌を対象に研究してきました。平安時代の和歌というと、『源氏物語』の和歌をイメージされることが多いので、まずはその先入観から離れてもらいたいと思います。そして、和歌という特殊な言語形態の成果をもとに、昔の人が言葉で何をしていたのか、今の私たちは何ができるのかを考える一助にしていただきたいと考えています。
平安時代の和歌を起点にしつつ、時代区分や文芸のジャンルを横断して研究を発展させたいと考えています。古典和歌を通して「今」を生きる人々に、言葉について改めて考えてもらうきっかけになるような教育・研究をしていきたいと思っています。
また、斎宮貝合をはじめ、三重県に関する和歌についても考察していきます。