人文学部
文化学科
文化資源学
研究分野: 美術史
19〜20世紀美術史の研究は、印象派などの近代絵画の動向を中心に展開されてきましたが、1970年代頃から導入された社会史の観点を受けて、次第に目を向けられるようになったのが、19〜20世紀、公共建築物に盛んに設置された装飾画の分野です。こうした公共装飾画を主な対象として、人々の人生や社会との関わりのあり方を研究しています。
人の一生を数段階に分けて絵画化する人生の諸段階の主題は、古今東西の美術にみられる主題です。博士論文では、19世紀末西欧の象徴主義美術のなかでも注目されてきた、この主題が19世紀後半から20世紀の初頭にかけてパリとその郊外の市区庁舎に設置された装飾画に多くみられることに着目しました。そこでは、背景となった社会的状況の分析とともに作品調査を進め、この主題の装飾画が、寓意像や歴史画、現代生活の表象や象徴主義的な表現といった多様な展開を経て受容された様相を明らかにしました。
美術史における社会史やジェンダーの観点をとり入れて研究を進めています。たとえば、公共装飾には当時の社会的な理念や思想を反映した女性像が溢れていますが、これまで数少ない女性画家による公共装飾画は見過ごされてきました。歴史的に女性芸術家が経験してきた困難や葛藤、教育制度の問題を踏まえながら、彼女たちが周囲の知識人と共有していた社会思想や自然科学への幅広い関心、また新しい美術表現について、研究を進めてゆきたいと考えています。
お茶の水女子大学、同大学院とパリ第一大学の博士課程を経て、2025年より現職。
大学院在学中に大原美術館学芸員を務めました。
博物館学芸員資格
DALF C1